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第66話 もう夫婦じゃない話

Author: Sunny
last update publish date: 2026-06-12 21:41:15

テーブルの上には、何枚かの紙が置かれていた。

住居。

生活費の精算。

保険。

各種解約手続き。

離婚届。

弁護士を入れる場合の相談先。

それらの単語が、紙の上で妙に冷静に並んでいる。

感情とは関係なく、生活は細かい手続きでできている。

その現実に、膝の上で重ねた指先が少し冷えた。

優は資料を一枚、私の方へ向ける。

「昨日話した通り、婚前契約書の細かいところは週末に改めてでいい」

声は落ち着いていた。

「今日は、その前に整理できることだけ確認したい」

私は小さく頷いた。

「わかった」

優の話し方は、仕事の時のそれだった。

冷静で、抜けがなくて、必要なことを順番に並べていく。少し悔しいくらい整っている。

けれど同時に、わかってしまった。

これは、ただ事務的に離婚を進めようとしているだけではない。

少なくとも、私が不利にならないように。後から困らないように。

今の優ができる限り、ちゃんと準備しようとしている。

そう見えてしまった。

それが、少し複雑だった。

「感情だけで揉めたくない」

優は資料を見ながら言った。

「だから、先に整理した」

「ありがとう」

自然にそう言うと、優が一瞬だけ苦く笑
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